勉強が苦手な子どもと向き合うために

子育て

知的障害や発達障害のある子どもの中には、「勉強が苦手」と感じるお子さんが多くおられると思います。特に、国語や算数はつまずきやすい教科の代表例ではないでしょうか。
ただ、これは僕の個人的な話でもありますが、うちの子どもの主治医(精神科医)の話を聞いていると、「1年、2年と勉強を続けることで平均に近づくことはできる」と言われています。しかし、親としては「どうやって苦手な勉強を教えていくか」が気になっているところです。
今回は、自分のためも含めて、勉強が苦手な子どもと向き合うための方法について考えていきます。

まずは「苦手な理由」を探る

勉強が苦手な原因には、いくつかのパターンがあります。

読み書きが苦手

漢字の読みが遅かったり、書くことに時間がかかったりすることがあります。

文脈を読み取るのが苦手

文章を読んでも意味を理解するのに時間がかかったり、文章問題が解けなかったりします。

注意がそれやすい

集中力が続かず、すぐに気が散ってしまうことがあります。

興味が持てない

自分の好きなこと以外には関心を示さず、勉強に興味を持ちにくいことがあります。

記憶に課題がある

一度覚えたことをすぐに忘れてしまい、繰り返しの学習が必要な場合があります。

子どもによって苦手の原因は異なるように思います。
まずは「何が苦手なのか」を知ることが大切かと思います。

「無理やり」は逆効果

当たり前のことですが、勉強は「無理やりやっても身につかない」ということを忘れてはいけないです。無理に続けさせると、勉強そのものが嫌いになってしまう可能性があります。
また、「時間をかければできるようになる」とも思いがちですが、知的機能の遅れや低さがある場合、必ずしも時間をかけた分だけ成長するとは限らない場合があります。また、発達障害の場合は、得意・不得意の差が大きいため、苦手なことが克服できるとは限らないこともあると思います。

親として、他の子と比べたり、「平均に追いつかせたい」と焦ったりすることは、子どもにとっては大きなストレスになります。親としては、子どものペースを大切にしながら、できることを伸ばしていくことが大切なように思います。

「定着するかどうか」を目安にする

勉強を進める上で大切なのは、「定着するかどうか」を目安にすること。本田秀夫先生の『知的障害と発達障害の子どもたち(SB新書)』では、次のように書かれています。

「学習というのは、『少し教わったら翌日くらいには身についていて、あまり忘れないこと』に取り組むのがベストです。『やらなくてもできること』や『やってもできないこと』ではなくて、『やれば身につくこと』に取り組むのがいいわけです。それを考えるときの目安が、『1〜2回教えたら、それが定着するかどうか』です。」

—『知的障害と発達障害の子どもたち (SB新書)』本田 秀夫著
https://a.co/fWKZPWb

つまりは、何度も繰り返さなければ身につかないものよりも、短時間で定着するものを優先する方が、学習の負担を減らすことができるという話です。

これは、僕も親として息子の勉強を見ていく際にとても参考になる考え方です。

具体的な勉強の進め方

具体的な進め方としては、子どもの特性に合わせた勉強法を取り入れることで、少しずつ「できること」を増やしていくことができます。

①学年を落とし、レベルを下げる
勉強する
簡単な問題から取り組み、成功体験を積むことが大切です。

②公文式などで勉強
スモールステップで取り組む
無理なく少しずつ進める学習方法が向いている場合があります。

③短時間で勉強
時間を区切る
15分~30分など、集中しやすい時間で区切ると負担が少なくなります。

④視覚的な理解を活かす
理解しやすい教材を使う
コグトレ(認知トレーニング)などを活用して、図やイラストで学んでいく。

成功体験を積み重ねることが大切

勉強が苦手な子どもにとって、苦手なことに取り組むのはそもそもストレスがかかります。だからこそ、まずは「成功体験」を積み重ねることが大切だと思います。

  • 短時間でもいいので「できた!」という感覚を得てもらう
  • 学習レベルを下げてもいいので、「やればできる」と思える環境をつくる
  • 親も過度な期待を持たず、「少しずつ成長すればいい」と考える

こうした工夫をすることで、子どもも親も、無理なく勉強を続けることができるように思います。

勉強が全てではない

最後に、大切なのは「勉強が全てではない」ということです。
学力だけが人生を決めるわけではなく、子どもにはそれぞれの強みや「好き」があります。勉強が苦手でも、他の得意なことを伸ばせば、自信を持って生きていくことだってできます。

個人的には、親としては子どもの成長を温かく見守りながら、無理のないペースで勉強をサポートしていくことが大切なように感じています。

子どもなりのやり方で勉強したことが少しずつ定着する可能性があれば、その後の生活にも活かしていくことはくさんあるように思います。

社会福祉士。社会福祉法人で障害福祉の仕事をはじめて20年。現在も福祉の仕事をしていて、就労支援の講師実績は150件以上。本業で得た経験を活かして、家族にとってわかりやすい情報を発信したく、日々執筆中!

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