グループホームや介護施設で活躍!自閉症・知的障害のある方のリアルな雇用事例

仕事・就職

介護や福祉、医療などは、報道でもあるように人手不足です。慢性的になっている現場であれば、職員の疲弊感が積もり、職場の雰囲気が悪くなってしまう職場もあるように思います。

そんななか、注目されているのが「福祉・医療分野での障害者雇用」です。特に自閉症や知的障害、発達障害のある方々の真面目で丁寧な働きぶりが力を発揮し、戦力としてだけでなく、人柄や雰囲気の良さで職場全体に良い影響を与えている事例が増えてきました。

この記事では、介護施設・障害者施設・グループホーム・病院といった現場で実際に行われている障害者雇用の取り組みを、プライバシーに配慮したフィクションを交えながらご紹介します。

※この記事は、複数の支援現場での経験をもとに、個人が特定されないよう配慮して構成したフィクションを含む事例紹介です。プライバシー保護の観点から、年齢やエピソードなどは変更・一般化しています。あくまで一つの参考例としてご覧ください。

グループホームでの障害者雇用事例

グループホームは、障害のある方が地域で暮らすための「住まい」の場です。特に自閉症や知的障害のある方、強度行動障害といわれる方々などが共同生活を送るグループホームでは、人手不足が深刻化しています。

そんななか、全国的に少しずつ広がっているのが、同じく障害のある方をグループホームの職員として雇用する取り組みです。

あるグループホームでは、自閉症や知的障害のある方が以下のような業務を担当しています。

・風呂やトイレの清掃
・居室の掃除
・洗濯物の干し・たたみ・収納
・朝食や夕食の簡単な調理や配膳
・入浴介助や食事提供の補助 など

一緒に働く職員があらかじめスケジュールを明示し、やるべきことを具体的に伝えることで、視覚的に分かりやすく整理された仕事に安心して取り組むことができます。自閉症や知的障害のある方にとって「明確で具体的な仕事」は安心材料になり、力を発揮しやすいため、とても安定的に働いておられます。

介護施設での障害者雇用事例

介護施設には様々な種類があります。たとえば、特別養護老人ホーム(特養)、介護老人保健施設(老健)、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などです。

就労支援の現場では、こうした介護施設で働く障害のある方々の事例を多く見聞きします。たとえば、ある特養では以下のような業務を任されています。

・居室や共用部の清掃
・ベッドメイク
・洗濯対応
・食事の配膳
・高齢者とのコミュニケーション

雇用される発達障害のある人が若い人であれば、「お孫さんのような存在」として高齢者から親しまれていたり、自閉症のある方が「毎朝元気に挨拶する」ことによって、現場の雰囲気を明るくしている事例もあります。こうしたちょっとした働きぶりが、高齢者の気持ちを和ませ、職場全体に良い影響をもたらしています。

医療機関での障害者雇用事例

病院などの医療現場では、命に関わる仕事が多く、独特の緊張感や厳しさが求められる場面もあります。しかし一方で、業務の手順やルールが非常に明確であることが多く、構造化された環境は自閉症や知的障害のある方にとって働きやすい場合があります。

以下は、病院で障害者雇用されている業務の例です。

• 院内の清掃(病棟・トイレ・廊下など)
・薬のピッキングや在庫管理
・手術室の準備や後片付け
・医療備品の準備・補充
・医療事務や看護事務の補助

大規模な総合病院であれば業務は多岐にわたりますし、中小規模のクリニックでも細かな業務が多く、障害のある方が活躍する場面は多く存在します。ルールが明文化されている職場環境は、「曖昧さ」が苦手な人にとって大きな安心材料ですし、職場での活躍もたいへん期待できるといえます。

障害者雇用が職場にもたらす効果

いずれの職場にも共通しているのは、「人と関わること」が業務の中心であるということです。働く職員も、人に対して思いやりを持ち、優しさを大切にしている方が多い傾向にあります。こうした職場環境は、障害のある方にとっても心理的安全性が高く、安心して働ける場所になっていると僕は感じていますし、このような職場はまだまだ障害者雇用を進めていける可能性も秘めていると思います。

特に、自閉症や知的障害のある方にとっては、以下の条件が整っていることで、働きがいを持って取り組めるケースが非常に多く見られます。

・業務が明確であること
・優しい人が多いこと
・毎日のスケジュールが決まっていること
・「ありがとう」と言ってもらえる環境であること

あらためて思うのは、業務内容や周りの環境はとても大事であるということ。
職場環境との相性がよいからこそ、職場にもたらす効果も高まっていくことができます。

まとめ

介護・福祉・医療の現場での障害者雇用は、単なる人手不足の補填にとどまらず、現場の雰囲気そのものを変える力を持っています。自閉症や知的障害のある方が、本人の特性に合った業務で力を発揮し、人間関係においてもプラスの影響を与えることができる、そんな事例は全国に広がっています。

働く側にとっても、職場にとっても、そして利用者や患者にとっても、すべての人にとって優しい雇用のかたちでもあるこれらの事例。

これを読んでくださっているご家族のお子さんたちがまだ小さいなら、将来、介護や福祉、医療で働くことも選択肢に入れてもらえたらと思いますし、成人の子どもがいるご家族についても職業選択のひとつとして参考にしていただけたらうれしいです。

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