こんにちは。
今回は、「子どもの支援に欠かせない専門家選び」についてです。
「専門家はどこにいるのか?」「どうやって探せばいいか?」「信頼できる人ってどうやって見極めるのか?」など悩まれることも多いのではないでしょうか?
知的障害や自閉症、発達障害のあるお子さんを育てていく上では、「専門家」は欠かせない存在です。ですし、何かあった時に相談できる存在は、親として何よりも心強いものかと思います。
今回は、どんなポイントに気をつけて専門家を選べばいいのかについて、具体的にご紹介していきます。
専門家って、どんな人?
まずは「専門家」について。
専門家とってもいろんな資格の名称があり、さまざまな立場の方がいます。
たとえば……
児童精神科や小児科などの医師
心理士やソーシャルワーカー、相談員
作業療法士(OT)や言語聴覚士(ST)、理学療法士(PT)
特別支援学校や特別支援学級などの学校の先生
スクールカウンセラー
児童発達支援や放課後等デイサービスなどの支援員
福祉事業所のスタッフや相談支援専門員
などなど、子どもの周りには多くの専門家がいます。
どの専門家も、医療、教育、福祉など、それぞれの分野における知識や経験を持ち、お子さんやご家族の生活・発達・教育・就労などをサポートしてくれる存在です。
でも、さまざまな立場の人がいる分、どの人に、何を、相談すればよいかはとても迷うかと思います。それに、仮に相談できそうな専門家が見つかったとしても、子どもや親との「相性はよいか?」なども気になるところです。
専門家選びの3つのポイント
では、どんな視点で「信頼できる専門家」を見極めたらよいのでしょうか?
ここでは、私見も交えて、3つのポイントを紹介します。
1.穏やかな人柄で、最後まで話を聞いてくれる人
まず何よりも大切なのは、「この人なら話して大丈夫」と感じられる雰囲気があることです。専門家と言っても、人間同士の関わりですから、第一印象や対応の丁寧さはとても大きなポイントになります。
例えば、こんな専門家には安心感を持てます。
・あいづちを打ちながら、親の話を遮らずに最後まで聞いてくれる
・表情がやわらかく、質問しても責めるような口調ではない
・「それは大変でしたね」と、気持ちに寄り添ってくれる
ここでのポイントは「穏やか」です。
親として、もしくはお子さんが感覚として感じる「穏やかさ」がある人が、これからのお子さんのことについても、子どもとの接し方についても、「穏やかに考えて関わってくれる」はずです。
勝手な私見ですが、僕も仕事柄いろんな専門家に会いますが、「穏やかな雰囲気をもつ人」に悪い人はいないし、お子さんとの関わりもとっても上手です。
穏やかかどうかは、親やお子さんの主観的な判断で大丈夫です。
2.本人ファーストで考えてくれる人
次に大切なのが、当たり前のことですが、「お子さん本人の視点を大切にしてくれるかどうか」です。
専門家によっては、「こうすべき」「この支援が一般的」といった“型”に当てはめて話を進めてしまうこともあります。でも、発達障害の特性、知的発達の状況などは一人ひとり違いますし、家庭環境も違えば親や子どもの価値観や思いもさまざまです。だからこそ、「その子にとって、今いちばん大事なことは何か?」を一緒に考えてくれる人を選びたいところです。
例えば…
・子どもの好きなことや得意なことに目を向けてくれる
・親の不安に寄り添いつつも、「お子さんの気持ちはどうかな?」と問いかけてくれる
・学校や療育機関などとの連携においても、本人の意見や希望を尊重しようとする
親の気持ちを大事にしながら、最終的には「お子さん本人の幸せ」を軸にしてくれる姿勢が見えると、とても信頼できるのではないでしょうか。
「本人ファースト」でいてくれるかどうかは、選ぶ上での大事なポイントであるように思います。
3.専門用語を使わず、わかりやすく助言してくれる人
最後にご紹介するのは、「わかりやすさ」です。せっかく相談したのに、専門用語が多すぎては、意味がわからなくて困ってしまうかと思います。
本当に信頼できる専門家は、難しい言葉を使わずに、今の状況や今後の見通しを、丁寧にわかりやすく説明してくれます。そして、親がすぐに実践できるような、具体的なアドバイスをしてくれます。
例えば…
・「感覚過敏」という言葉を、「音がすごく気になるタイプかもしれませんね」と言い換えてくれる
・「ソーシャルスキルトレーニング(SST)」の説明を、「お友だちと関わる練習のことですよ」とかみ砕いて話してくれる
・「家でできそうなこと」「学校にお願いできること」など、日常に落とし込んだ提案をしてくれる
親としては、「なるほど、そうすればいいのか」と思えるようにも思います。
専門家の人が親や子どもにわかりやすく説明してくれているという事実は、親や子どもに寄り添ってくれている証でもあり、相手の立場や状況を尊重してくれて、これからのことを考えてくれていることでもあると思います。
ちょっとしたことですが、「言葉の使い方」「平易な言葉」は選ぶ上でのポイントであると思います。
専門家を変えるのは「悪いこと」じゃない
「なんだかこの先生、合わないな」と感じたとき、「でも、プロだし…」「自分の感じ方がおかしいのかも」と思ってしまうことってあるかと思います。
でも、それはそれで自然なことです。
それに、専門家を変えることは決して悪いことではありません。
また、新しく専門家を探すことは労力もかかるし、大変なことかと思います。
でも、合わないと感じる専門家にずっと相談し続けるより、「信頼できる専門」に出会い直す方が、親にも子どもにもプラスになります。
もちろん、相性の問題もあります。
たまたま担当した人が合わなかっただけ、ということもあります。
医療機関や学校などの場所は変わらずでも、人を変えてもらうこともありかと思います。
言いにくかったり遠慮してしまうこともあるかもしれませんは、「担当を変えてもらうこと」は悪くないってことはお伝えしておきたいです。
複数の専門家に関わってもらうことも大切
少し視点を変えたポイントです。
子育てや支援は、「この人だけに任せておけば大丈夫」というものではないこともお伝えできたらと思います。
理由は、専門家にとっても、得意・苦手な分野があります。
「専門外」といった表現をする専門家もいるかもしれません。
得意な専門分野もあれば、知識や経験不足、まだ勉強中ってことで得意ではないといこともあります。
専門家にとっては、それを正直に話してくれる人もいますし、苦手を隠すわけではないですが、教えてくればい場合もあります。
理想を言えば、「頼れる専門家が複数いること」がよいように思います。
身近にいるとなおよしですが、少し離れた地域であっても、時々相談できるぐらいの距離感と関係性でもいいかと思います。
いろんな専門家が複数いて、子どもの周りにいることでチームとして関わってくれる。
親としても、困った時に専門家を選んで相談できる。
そんな体制を作るために専門家を複数見つけていくことは時間もかかりますが、何人かの専門家を見つけておくのもおすすめかと思います。
まとめ
専門家選びで迷ったとき、一番大事にしてほしいのは「親としての感覚」でしょうか。
「穏やか」「本人ファースト」「平易な言葉」など、ちょっとしたことに良さを感じることが選ぶポイントでもあるように思います。
・話していて安心できるか
・この人にまた相談したいと思えるか
・子どものことを真剣に考えてくれているか
僕も仕事柄、ご家族と話すことは多いですが、親が信頼できる専門家を見つけるためには、時間がかかっておられるケースは多いように感じます。
でも、頼れる人が見つかることで親としての安心にもつながり、子どもの未来もイメージしやすくなっておられます。
少しずつ、時間もかけながら、専門家を探していってもらえたらと思います。

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