こんにちは。今回は「発達障害は治るのか?」というテーマについて、親の立場から考えてみたいと思います。
近年、「発達障害」という言葉は社会の中で広く知られるようになりました。テレビ番組やインターネットでも「発達障害 大人」や「発達障害 子ども」といったキーワードが見られ、関心の高さがうかがえます。しかしながら、「発達障害は治せるもの」と誤解されているケースも少なくありません。
今回は、「発達障害は治るのか」「治らないとしたら親は何ができるのか」について、できるだけわかりやすくお伝えしたいと思います。
発達障害は治るのか?
結論から言えば、発達障害は治りません。
発達障害は、先天的な脳機能の障害によるもので、風邪やケガのように「治る」「完治する」という性質のものではないです。
また、発達障害は、親の育て方や本人の努力不足で起こるものではありません。外部からのストレスや環境要因で後天的に発症するものでもありません。これは医学的にも明確にされています。
発達障害は「病気」ではなく「障害」です。診断名こそつきますが、特性のあり方によって生活上の困りごとが出てくるために「障害」として捉えられている側面があります。
ただし、「治らない」ということと、「生きづらさを軽減できない」ということは全く違います。発達障害のある子どもも、周りからの支援や環境の調整、本人の経験の積み重ねによって、自分らしさを保ちながら生活や学業、仕事をすることができます。
発達障害とは?わかりやすく解説
「発達障害」とは、先天的な脳機能の障害で、情報処理に機能障害があります。主には以下のような診断名が含まれます。
・自閉スペクトラム症(ASD)
・注意欠如・多動症(ADHD)
・学習障害(LD)
これらの障害は、社会性、対人コミュニケーション、こだわり、感覚の敏感さ・鈍感さ、想像力などに特性が見られるのが特徴です。
たとえば:
・空気が読みにくい
・一方的に話してしまう
・初めてのことや予定の変更に強い不安を感じる
・感覚が過敏で音や光に反応しやすい
・マルチタスクや臨機応変な対応が苦手
といった困りごとが日常に現れます。
また、最近は「スペクトラム(連続体)」という考え方が主流です。「グレーゾーン」と呼ばれるような診断未満の子どもにも、特性が見られることがあります。つまり、「誰でも多少はそういう部分(特性による苦手なこと)を持っている」という認識も大切です。
治らないなら、どう向き合えばよいか?
「治らない」と聞くとショックを受ける親御さんもいらっしゃるかもしれません。でも、工夫や支援次第で生きづらさは確実に減らすことができます。ここでは、親ができることをいくつかご紹介します。
- 視覚支援を活用する
発達障害の子どもは、耳からの情報よりも視覚で理解する力が強い傾向があります。
予定やルールを文字やイラスト、写真で見える形にしておくことで、混乱や不安を防ぎやすくなります。
例:
・朝の支度表(イラスト付き)
・学校や家庭の一日のスケジュール表
・場面ごとの行動カード(食事中は○○、外出時は○○)
これらの視覚支援は、本人の見通しを持つ力にもつながります。
- 環境調整で「できる場面」を増やす
発達障害のある子どもにとって、「周囲の刺激(音・光・人の動き)」がストレスになることがあります。
その子にとって安心できる環境を整えることが、「できる」「落ち着ける」「穏やか」となる時間を増やす第一歩となります。
例:
・音の少ない場所で過ごす
・イヤーマフを使う
・好きなことをする
・家の中で「ひとりになれるスペース」を作る
- 理解ある人との関わりを持つ
家庭・学校・療育など、「わかってくれる人」がそばにいることは、子どもにとって大きな安心につながります。
「どうしてできないの?」ではなく、「どうすればやりやすくなるかな?」という視点で関わることが大切です。
子どもにとっても、理解ある人が近くにいた経験は、支援を受けるための土台にもなりますし、人との信頼関係を作るための良い経験にも繋がります。
- 得意や興味を伸ばす
発達障害のある子どもには、特定の分野に強い関心や能力を持つ子も多くいます。
数字に強い、絵が得意、記憶力が良いなど、その子の「強み」を見つけて伸ばすことは、自信と社会参加の力になります。
「強みを活かす」は、言うほど簡単なことではないですが、得意なことや関心のあることは子どもにとっても意欲的に取り組みやすいことですし、それが将来的に仕事や社会参加に繋がる可能性もあるなら、伸ばし続けることは大切な視点です。
ですし、仮に仕事や社会参加に繋がらなくても、余暇の充実のために得意や関心ごとを活かしていくこともできるため、どちらにしても、得意や関心を伸ばすことは将来的にも大切な取り組みになると思います。
まとめ:発達障害の子どもに対して親ができること
発達障害は「治るもの」ではありませんが、だからといって希望がないわけではありません。
治らないからといって、できないことや苦手なことが減らないわけでもなく、上記のように視覚的な支援や環境の調整、得意を伸ばすことなどは、苦手を軽減することもできます。
それに、本人にとって生活しやすい環境が身近にあれば、障害があっても子どもらしく、伸び伸びと生きていくことができると思います。
ご家族にとって子どもと向き合う気持ちを整理していくことに時間が必要なこともあるかもしれないですが、治らないなら治らないなりのやり方を見つけていくことを、専門家などの誰かと一緒に考えながら進めてもらえたらと思います。
むしろ、「どう支えるか」「どう整えるか」、「どのように伸ばしていくか」によって、子どもの可能性は大きく広がっていくように思います。
・発達障害の特性を理解していく
・子どもの特性に合った支援や工夫を試してみる
・周囲の理解を得て、安心できる環境を整えていく
これらのことを少しずつ意識するだけで、親子の関係や子どもの暮らしやすさは大きく変わっていくように思います。

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