知的障害のある子どもが落ち着いていく理由と、親にできること

子育て

こんにちは。今日は「知的障害のある子どもの育て方」についてお話ししたいと思います。

特に、子ども時代に落ち着きがなかったり、癇癪を起こしたりと、調子の不安定さが目立つことに悩んでいる親御さんに向けて、少しでも希望が持てるようなお話ができたらと思います。

子どもは、成長とともに落ち着いていく

結論から言うと、子どもは大きくなるにつれて、少しずつ落ち着いていくケースが多いです。もちろん個人差はありますし、すべてが「年齢とともに解決する」と言い切れるわけではありませんが、私がこれまでに多くの親御さんとお話ししてきた中でも、「あの頃は本当に大変だったけど、今は随分落ち着きました」という声をよく聞きます。

子ども自身が経験を積み、見通しを持てるようになってきたり、環境に慣れてきたり、あるいは親御さん自身が対処方法を身につけていったりすることで、結果的に落ち着いてくることが多いように感じます。

今日は、そんな「成長とともに落ち着いていく」理由と、親としてできることについて、少し掘り下げていきたいと思います。

なぜ子ども時代は不安定になりやすいのか?

それは一言で言えば、「子どもだから」です。

年齢が若く、経験も少ない。わからないことや予測できないことがたくさんある中で、不安やストレスがたまりやすく、それが行動に表れてしまうのです。

たとえば学校行事。初めての大きなイベントや、いつもと違う授業の進め方など、子どもにとっては「先が見えない」「何が起きるかわからない」体験になります。それが不安につながり、前後で調子が崩れてしまうこともあります。

けれども、そんな子でも学年が上がるにつれて経験値が増え、行事に慣れたり、自分なりの「逃げ方」や「安心できる方法」を覚えたりして、少しずつ落ち着いていく様子も見られます。

中学・高校と進む中で、また別のストレス(学習や人間関係)に直面することもありますが、そのたびに親子で一緒に対処法を模索する経験が積み重なり、結果として「前ほどは調子を崩さない」状態になっていくことが多いのです。

調子が悪いときは、無理をさせないことが一番

子どもが癇癪を起こしたり、暴れてしまったり、不安定な状態になることは誰にでもあります。

そんなときは、まず「無理をさせない」ことを一番に考えてください。

必要に応じて環境を変えたり、刺激となる要因を取り除いたりすることで、落ち着きを取り戻すこともあります。どうしても手に負えないときは、学校や医療、福祉の支援を受けることも大切です。

ある親御さんから聞いた話で、「どうしても落ち着かないときは、車でドライブに連れて行った」とよく耳にします。窓を開けて風を感じながら外の景色を眺めることで、気持ちが切り替わったという子も少なくないそうです。

ただし、「ドライブ=落ち着く」と固定されすぎると、それがなければ気持ちを保てなくなることもあるので、選択肢は複数持たせてあげると良いでしょう。たとえば、静かな場所で本を読む、お気に入りの音楽を聴く、ぬいぐるみを抱えるなど、子どもに合った「安心できるスイッチ」を一緒に探してみることもおすすめです。

大変な時期は、ずっとは続かない

知的障害や発達障害があるお子さんを育てていく中で、「どうしてこんなに大変なんだろう」と思う時期は、きっと誰にでもあります。

でも、それはずっとは続きません。

子どもが成長する中で落ち着きを見せるようになるだけでなく、親御さん自身も、日々の関わりや経験の中で対処法を学び、気持ちの余裕が出てくるようになるのです。

「この時期を乗り越えたら、少し楽になるかもしれない」
そう思ってもらえるだけでも、心が少し軽くなるのではないでしょうか。

もちろん、つらいときは一人で抱え込まずに、医師・学校・福祉の支援者・家族や地域の人など、頼れる人を頼ってください。それは決して「甘え」ではなく、大切な子育てのスキルのひとつです。

将来のことも、周囲と一緒に考えられる

私は社会福祉法人で働いています。これまでに、子ども時代に非常に不安定だったお子さんを多く見てきました。

でも、その多くが、大人になって福祉サービスを上手に使いながら、自分のペースで社会の中で生活しています。

福祉の現場では、そうした子どもの成長を見ながら、将来を見据えてグループホームを整備したり、日中活動の場を用意したりと、支援体制を整えることもよくあります。

つまり、今の困難な時期は「この子の将来を一緒に考える大切な時間」でもあるのです。

お子さんのことを一緒に考えてくれる専門家、支援者と、少しずつでも話をしてみてください。その関係性が、10年後、20年後も続く支えになります。

まとめ

・知的障害のある子どもも、成長とともに落ち着いていくことが多いです。
・子ども時代の不安定さは、「経験の少なさ」や「見通しのなさ」が原因のことも。
・大変なときほど、無理をさせず、安心できる環境や方法を一緒に考えていくことが大切。
・親も子どもと一緒に成長していく中で、気持ちの余裕や対応力が身についていきます。
・周囲の支援者や専門家と、将来のことを一緒に考えていくことで、安心できる未来が見えてきます。

焦らず、比べず、でも一人で抱え込まず。
「今は大変でも、未来はきっと落ち着いていく」
そう信じて、日々を過ごしていけたらと思います。

ふくしる(匿名)

社会福祉士。社会福祉法人で障害福祉に携わって20年。現在も福祉の仕事をしていて、就労支援の講師実績は150件以上。本業で得た経験を活かして、家族にとってわかりやすい情報を発信したく、日々執筆中!

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