こんにちは。
4月になり、新しい年度が始まりました。桜が咲いて、少しずつ暖かくなってくるこの季節。でも、親にとっては「新年度の環境の変化」になにかと心配が増える時期でもありますよね。
特に、自閉症や知的障害のあるお子さんは、「変化」に敏感なことが多く、新年度のスタートは子ども自身にとっても落ち着かないタイミングでもあります。
この記事では、新年度の環境変化に不安を感じやすいお子さんとの関わり方について、具体的なヒントをご紹介します。
新年度って、どんな変化がある?
新年度になると、学校ではいろんなことが変わります。
担任の先生が変わる
教室の場所が変わる
クラスメイトが変わる(転校生が来る、クラス替えがある)
時間割やルールが変わる
こうした変化は、大人から見ると「よくあること」「大したことじゃない」と思うかもしれません。でも、お子さんにとっては、「いつもと違う」ことがたくさん起きているってわけです。
加えて、4月は季節の変わり目でもあり、花粉や黄砂の影響で体調が崩れやすかったりもします。そう考えると、「落ち着かないのも当然」と思えてきますよね。
僕ら親の職場環境などで考えても、年度変わりは人事異動や新入社員などの新たな人間関係が始まったり、新年度は何かと業務上の変化も多く、社会人にとっても変化が多いことを考えると、子どもたちの落ち着かない気持ちはとてもよく理解できそうです。
なぜ、不調に?
自閉症や知的障害のあるお子さんにとって、「予測できないこと」=とても大きなストレスでもあります。
いつもと違う。
何が起こるかわからない。
これから何をするのか。
誰がいるのか、どこに行くのかなどが分からない。
こうした状況は、不安や混乱を招き、行動の変化(例:急に走り出す、大きな声を出す、フリーズする、気持ちが落ち込むなど)として現れやすくなります。
また、人の変化(先生が変わる・クラスメイトが変わるなど)も敏感に感じるお子さんにとっては、「あの人はどんな人?、優しい?」「どのように関わればよいか?」など、人とのコミュニケーションにおいても人の変化(人的環境の変化)はお子さんにさまざまな影響を与えるように思います。
対策① 見通しを示す
見通しを示すには、「次は何があるか」「そこで何をするのか」「どうなったら終わりなのか」を伝えることに意味があります。
また、できるなら、「視覚的に示すこと」が有効でもあり、理解もスムーズになります。
●例えば
ホワイトボードに1日のスケジュールを書く
イラストカードを使って流れを視覚的に伝える
「あと5分でお風呂だよ」など、時間を予告して伝える
登校・下校・帰宅後の流れを写真や絵で一覧化する
ポイントは、「なんとなく」ではなく、「具体的に」「見える形で」「明確に」伝えること。
曖昧なことは理解しづらいですが、具体的で明確なことが理解がしやすく、結果的にお子さんの安心感がぐっと高まります。
対策② 落ち着ける“居場所”をつくる
不安や緊張が高まると、落ち着かなくなり、場合によっては、その場に適さない行動で表現されることがあります。
そんなときに大事なのが、「安心して落ち着ける場所」をつくることです。
●たとえば、こんな工夫を!
自宅の一角に、クッションや布で囲った「リラックスエリア」を設ける
好きなぬいぐるみや音楽、ガムなど、落ち着けるアイテムを一緒に置く
学校でも「ここにいれば安心」というスペースを作ってもらえるよう相談する
リラックスエリアは、避難場所でもあり、安心できる場所でもあります。なにか嫌なことがあれば逃げれる場所があり、そこは安心できる場所であることで、気持ちを切り替え、落ち着くことにつながっていきます。学校でも、自宅でも、とっても大切な場所だと思います。
対策③ 情報は“シンプル”に伝える
環境が変わると、それだけで子どもの脳内は情報でいっぱいです。
そんな中で、「あれもこれも」と細かい指示や変更点を伝えると、余計に混乱させてしまいますし、情報過多で疲れてしまいます。
●伝えるときのポイント
指示は端的に、わかりやすく
肯定的に伝える
褒める時はできるだけストレートに
具体的に、明確に伝える
情報はシンプルが望ましいです。同じ言葉を使って、繰り返し伝えることでも安心につながっていきます。
対策④ 「不安サイン」を見逃さない
お子さんが不安や緊張を感じたとき、言葉にできなくても体のサインが出ていることがあります。
●よく見られるサイン
ソワソワしている
元気がない
体をゆらすなど落ち着かない
睡眠や食欲が安定しない
いつもと違う様子は、「不安な気持ちを表すサイン」かもしれません。
優しく声をかけて、サインを見逃さないようにしながら、お子さんの気持ちを大事にしてもらえたらと思います。
対策⑤ 学校や専門機関と連携しよう
新年度などによる環境の変化について、親や家族だけでは解決しづらいこともあるかと思います。
そこは、迷わず、先生や専門家との連携が望ましいです。
担任の先生や通級の先生に、家庭での様子を伝える
放課後等デイサービスの支援員と情報共有する
状態が続く場合は、児童精神科など専門機関に相談する
家での普段の様子、前と今で比べた時の違い、不調そうな様子や表情のことなど、明確な調子の悪さがなくても、なんとなく感じる親の「勘」も含めて、気軽に相談してみることをおすすめしたいです。
おわりに
新年度は、子どもにとっても、親にとっても変化の多い時期ですが、疲れも出やすい時期でもあります。
無理に「慣れさせよう」「我慢させよう」「頑張らそう」とする必要はないと思います。
お子さんの今の様子にある背景も探りながら、先生や専門家との連携も合わせて、周りの人と一緒に考えていってもらえたらと思います。

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