学校生活において、発達障害や知的障害のある子どものトラブルやいじめについて心配される親は少なくないと思います。特に、こうしたトラブルは子どもにとって深い心の傷となり、大人になっても消えない嫌な記憶として根強く残ることがあります。この記事では、学校でのトラブルへの対処法や子どもをサポートするための考え方についてまとめています。
学校でのトラブルやいじめが残す影響
学校生活は子どもにとって大切な成長の場であり、多くの学びや経験を得る貴重な時間です。しかし、知的障害や発達障害のある子どもたちは、時にいじめやトラブルに巻き込まれることがあります。話し方ややりとりの仕方などのコミュニケーションの取り方や、独特の行動パターン、こだわりなどが誤解を招き、周囲からからかわれたり孤立したりする場合があります。
こうした経験は、子どもにとって深刻な心理的ダメージを与える可能性があり、特に、いじめやトラブルが繰り返されると、「自分はダメな存在だ」「なにをやってもうまくいかない」といった否定的な自己イメージを持ってしまうこともあります。このようなネガティブな記憶は、子どもが大人になった後も強く残り、自尊感情の低下や対人関係の難しさにつながることがあります。
学校や先生との連携を大切に
トラブルが発生した際には、まず学校や担任の先生と連携して対応を進めることが望ましいかと思います。先生たちは、日々、子どもたちと接しているため、問題の背景や状況を把握していることが多いです。ただ、先生によっては訴えや状況を理解してくれる場合もあれば、慎重に判断する先生もいるため、担任の先生との連携は重ねて行く中で子ども学校内での状況を把握していくことが大切かと思います。
先生との連携内容
・いじめの事実確認を依頼する
・問題が発生した際の学校内での対応策を話し合う
・必要に応じてクラスの環境調整をお願いする
ただし、学校や先生が必ずしも親や子どもの意見を尊重してくれるとは限りません。一部の学校では、「様子を見ましょう」という形で問題が放置されるケースや、親の訴えが適切に受け止められないこともあります。このような場合は、次のような専門家の力を借りることが効果的かと思います。
専門家のサポートを活用する
学校や先生だけでは十分な解決が難しい場合、以下のような専門家や支援機関に相談することができます。
- 主治医や心理士
- 子どもの発達特性を理解した専門家が、学校との連携方法についてアドバイスをくれることがあります。
- 発達障害者支援センターの職員
- 各地域にある支援センターでは、学校や家庭での困りごとについて相談が可能です。必要に応じて学校との仲介役を担ってくれる場合もあったり、地域の専門機関を紹介してくれる場合もあります。
- 福祉サービス事業所の支援員
- 児童デイサービスや放課後デイサービスなどの福祉サービスの職員が学校の先生と連携してくれる場合もあります。時には、学校訪問による普段の学校生活を見に行ってくれることもあり、子どもが学校で安心して過ごせるための方法を一緒に考えてくれます。
こうした専門家は、学校と親の間に入って問題を整理し、適切な対応策を考えてくれます。親だけで悩まず、専門的な知識や経験を持つ人々の力を借りることで、より良い解決策が見つかることがあります。
学校以外の学びの場も検討する
もう一つ大切なことは、「学校は子どもが無理をして行くものではない」ということです。子どもが安心して過ごせない環境で無理に通学を続けることは、逆に心身の負担を増やす原因となります。
現在では、学校以外にも子どもが学べる場が増えています。
・フリースクールや通信制の学校
・地域の学習支援センター
・オンライン学習プログラム
こうした選択肢を視野に入れながら、子どもと一緒に学校生活について話し合い、無理のない方法で学び続けられる環境を見つけることが重要です。
親としての姿勢
子どもが学校で困難に直面したとき、親としてどのように対応すれば良いのか悩むことも多いと思います。しかし、最も大切なのは、子どもの気持ちをしっかりと受け止め、子どもが自分の気持ちを安心して話せる環境を作ることです。
トラブルがあった場合(親の姿勢として)
・感情的にならず冷静に状況を整理する
・子どもの話を丁寧に聞き、必要ならメモを取る
・早めに学校や専門家と連携する
環境との「相性」の視点
障害は「環境との相互作用」によって、障害の程度が大きくなったり、小さくなったりすると言われています。つまりは、周りの環境に大きく影響を受けやすいのが特徴ということです。
そのため、子どもと学校の「相性はどうか?」は親としては大切な視点でもあります。仮に、相性がよくないのなら、無理して学校に行く必要はないし、相性の悪さは一時期的(例えば、学年が変われば環境がよくなる可能性もある)なら、学年が変わるまでは休ませるのもひとつの方法です。
子どもと周囲環境の「相性」についても、ぜひ、気にかけておいてもらえたらと思います。
最後に
知的障害や発達障害のある子どもが学校生活で直面するトラブルは、親にとっても大きな心配事です。しかし、学校や専門家と協力しながら、子どもの特性に合った環境を整えることで、子どもが安心して成長できる場を作ることができます。また、学校だけにこだわらず、多様な学びの場を検討することも選択肢の一つです。
お子さんの未来のために、焦らず、じっくりと向き合っていきましょう。
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