こんにちは。
今日は、僕が普段の仕事を通じて出会ってきたご家族のお話から感じたことを書いてみたいと思います。
僕は、普段は就労支援施設で働いています。主に、障害のある方々が働くことについて支援する仕事です。
ご家族とは、面談や相談の場で話を聞かせてもらうこともあり、お子さんがまだ小さかった頃の話を聞かせてもらうこともあります。
そんな話を聞いていつも思うのは、「子育てに答えはないけど、うまくやってるご家族には、どこか共通するものがある」。
今日は、そんなご家族のお話をもとに、子育てについて感じたことをお届けしたいと思います。
悩みのカタチは人それぞれ
これまでたくさんのお父さん、お母さんのお話を聞いてきました。共通しているのは、「悩みが尽きない」ということ。でも、その悩みの中身は皆さんさまざまです。
・言葉や行動の遅れに対する不安
・感覚過敏や偏食、癇癪などのこと
・学校の先生とのやりとり・連携
・クラスメイトとの人間関係や友だちづきあい
・特別支援学級にするか、支援学校にするか…進路の選択
・高校や大学の進路
どれもが、ご家庭にとっての思い。もちろん、家庭の数だけ解決の形も違うように思います。
どのご家族も、子どもにとって一番良いと思えることを真剣に考えておられ、面談での話を通して過去のことを振り返りながらその時の思いもたくさん聞かせてもらっています。
子どもから学ぶという姿勢
本業での経験として、ご家族の話を聞いていつも思うのは、「子どもから学ぶ」を大切にされている姿。ご家族からそのような発言があるわけではないですが、面談で話を聞いていて、勝手ながらそんなふうに感じています。
普段の生活で、子育てをしながら子どもをよく観察し、親として「気づいたこと」を子育てに活かしておられる。話を聞いていて、そんなふうに思います。
たとえば、
・お風呂掃除を教えたことで、手順をきっちり守り、毎日のルーチンになった
・普段は言葉が少ないけれど、ふとした言葉に優しさを感じる(相手を思いやってくれる)
・一人で買い物は難しいと思っていたけれど、母の日に花を買って帰ってきた
・何度教えてもできないことがあって、「無理に教えなくてもいいか」と思えた瞬間
子どもをよく観察しておられ、そのなかでの「気づき」を大事にされているように思います。専門書に書いてあるようなことじゃなくて、目の前のわが子の行動から、親として感じ取った「ヒント」をもとに、試行錯誤しながら子育てを続けていく。
「子どもから学ぶ」は支援者として勝手に感じたことですが、でも、とても大切なキーワードなように思います。
専門家との出会いが転機になることも
お話を聞かせてもらったお母さんたちから、こんなことを教えてもらいました。
「講演会で聞いた専門家のひと言に救われたんです」
「主治医に“今のやり方で大丈夫ですよ”って言われてホッとしました」
「施設で使っている視覚的なスケジュール表を真似してみたら、家でのやりとりがスムーズになりました」
ご家族の話を聞いていて、よいタイミングで登場してくるのが「外部の専門家」。
そこでの教えやヒントが、親としての自信につながることは少なくないように思います。
「専門家」と聞くと、医師や心理士などの専門的な資格を持つ人を思い浮かべる方が多いと思います。でも、障害のある子どもや大人と関わる人たち…、たとえば、支援学校の先生、福祉施設のスタッフなども、立派な専門家です。
大事なのは、「身近なプロに話してみること」。頼れそうな人、ちょっと話しかけやすい人に、まずは相談してみるだけでも、気持ちがずいぶん楽になるように思いますし、「専門家をうまく活用する」もうまくやってるご家族の共通点なようにも思います。
ときどき、振り返ることも大切に
就労支援の仕事では、成人された方とそのご家族に、これまでの歩みを聞く機会があります。
・幼少期の様子
・診断や検査の内容
・学校での教育支援計画や評価
あるご家族は、「検査結果のコピー、全部ファイルしてます」と行って、僕の施設を利用する前にコピーを全部渡してくださるご家族もあります。時々は読み返したりもされているそうです。
子育ての記録は、過去の情報であると同時に、未来を考えるための「ヒント」でもあるように思います。わざわざ時間をとって整理するのはちょっと大変ですが、時々思い出してみるだけでも、新しい気づきがあるかもしれないです。
自立と将来のことは、焦らず、ゆっくりと
子どもの将来のことを考えると、親として、いろんなことが不安になるかと思います。
・どこで働くのだろう?、働けるだろうか?
・一人での生活はできる?
・親がいなくなったあと、本当に大丈夫だろうか?
面談でも、そんなことを話題にするご家族はとても多いです。
でも、心配な親の気持ちは親としてなんとか気持ちを落ち着かせ、焦らず、ゆっくり進めてよいとも言っておられます。
「焦らなくていい」
「少しずつでいいから、本人に合う場所を見つけてほしい」
「周りの人が本人を理解してくれるなかで生活していってほしい」
「親の理想」を追いかけたくなる気持ちをぐっと抑えて、「本人らしさ」を一番に考えておられるように思います。これは、簡単なようでとても難しいことです。
それでも、「待つことが大切だった」と語るご家族の姿には、今までのさまざまな経験とお子さんへの愛情を感じます。
おわりに
今回は、僕が支援の現場で出会ったご家族のお話をもとに、「子育て」にまつわることをまとめてみました。
僕自身、支援者として働くなかで、ご家族から学ぶことが本当にたくさんあります。子どもへのまなざし、気づきの大切さ、焦らず見守る姿勢……どれもが、子育てにとっての大切なことに思います。
自分の仕事上の経験によるもののため、私見も多く含んでますが、なにかの参考になっていたらうれしいです。
最後まで読んでくださって、ありがとうございました。

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