家のお手伝いをわかりやすく教えるには?~ジョブコーチの支援技術を活かして~

子育て

子どもに家のお手伝いをお願いしたいと思っても、「どうやって教えたらいいの?」と悩むことはないでしょうか?
特に、自閉症や知的障害のあるお子さんの場合、親の指示が伝わりにくかったり、一度教えたことをうまく定着させるのが難しかったりすることがあるかと思います。

就労支援では、障害のある人が職場で仕事を覚え、職場で自立して働くためのサポートをする「ジョブコーチ」という専門職があります。
ジョブコーチは、「どのようにわかりやすく仕事を教えるか」「職場での自立をどのように支援するか」を重視し、仕事をスムーズに覚えてもらうための環境調整や就労支援のスキルを有しています。

このジョブコーチの支援技術を参考にすれば、家庭でのお手伝いも、よりわかりやすく教えられるようになるかと思います。
今回は、子どもが家のお手伝いを覚えやすくなる方法について解説していきます。

お手伝いを教える前に大事なポイント

お手伝いを教えるときに、いきなり「これをやってみて!」とお願いしてもうまくいかないことは多いかと思います。
まずは、次の3つのポイントでお手伝いの準備を考えてもらえたらと思います。

① 本人の特性とお手伝いのマッチングを考える

お子さんの特性や得意・苦手を考えたうえで、お手伝いの内容を決めていきます。
たとえば、

・細かい作業が得意なら、タオルを畳む・食器を並べる
・動きが大きい作業が好きなら、掃除機をかける・洗濯物を干す

難しすぎる作業をお願いすると、うまくできずにお子さんが嫌になってしまうこともあります。
できそうな範囲で、お子さんが「やってみよう!」と思えるお手伝いから始めてもらえたらと思います。

② 教える人自身が、お手伝いの手順を理解しているか?

大人にとっては当たり前の家事でも、いざ説明しようとすると「どう教えたらいいんだろう?」と戸惑ってしまうこともあるかと思います。
まずは、教える側が手順をしっかり理解しておくことがポイントです。
たとえば、

洗濯物を干す → 1. 洗濯機から出す 2. シワを伸ばす 3. ハンガーにかける 4. 物干しにかける
食器を洗う → 1. 食器を分ける 2. 洗剤をつける 3. スポンジで洗う 4. すすぐ 5. 食器ごとに水切り(乾かす)

簡単な作業でも、いくつかのステップに分かれています。
「何から始めるか」「どの順番でやるか」を明確にすることで、お子さんにとっても伝わりやすくなるかと思います。

③ ゆっくり落ち着いて教えられる環境を作る

当たり前なことでもありますが、焦って教えるとのことでお子さんは混乱してしまいます。
お手伝いを教えるときは、できるだけ時間に余裕があるときに、なおかつ、リラックスした環境で行うのがオススメです。
親としては、ついつい、「早くして!」と急かしてしまいがちですが、お子さんもプレッシャーを感じてしまいますので、せっかくの学びの機会を大事に時間をとるのがよいかと思います。

わかりやすく教える技術 〜ジョブコーチの支援技術を活かして〜

ジョブコーチの支援では、「どのように仕事をわかりやすく教えるか」がとても大切とされています。

ポイントは、「介入度」です。
できるだけわかりやすく書くことでお伝えできたらと思います。

介入度とは?

「介入度」とは、どれくらい支援(手助け)するかの度合いのことです。
支援が少ない順に、次の4つの方法があります。

1. 言語指示(口で説明する)
→ 「タオルを畳んでね」「洗濯物をハンガーにかけよう」など、言葉で伝える
2. ジェスチャー(動きを見せる)
→ 「こうやってタオルを半分に折って…」と手で示す
3. モデリング(お手本を見せる)
→ 実際にやって見せて、「こうするんだよ」と示す
4. 手添え(手を添えて一緒にやる)
→ 手を添えて一緒に動かしながら、「こうやって畳むんだよ」と伝える

例えば、「洗濯物を畳んでね」と言っただけでできない場合は、
ジェスチャー → モデリング → 手添えと、段階的に介入度を上げながら教えていきます。

逆に、ある程度できるようになってきたら、今度は介入度を下げていくことが大事です。
手添え → モデリング → ジェスチャー → 言語指示と、徐々に手助けを減らし、お子さんが自分でできるように促していきます。

「最初が肝心!」 〜教え方のポイント〜

お手伝いを教えるときは、最初の教え方がとても大切となります。
最初にうまく教えることができれば、その後の定着もスムーズにつながります。

  1. 最初はゆっくり教える

初めてやるお手伝いは、手順やコツをいきなり覚えるのは難しいものです。
お子さんのペースに合わせて、「ゆっくり」と教えることがまずは大切となります。
時間はかかるかもしれないですが、焦らず、一つひとつの手順を丁寧に教えることが大切です。

  1. 最初は一緒にやる

次に、教え方のコツとして、「一緒にやる」がポイントです。
一緒にお皿洗いをする、一緒に洗濯物をたたむなど、楽しみながらやることでお子さんも前向きに取り組めるように思いますし、一緒にやることで見本を間近で見ることで手順も正確に理解することに繋がります。

  1. 本人が理解できるまで繰り返す

知的障害や発達障害の特性として、繰り返しやルーチンが得意と言われています。そのため、何度も繰り返して教えることで、少しずつ覚えていくことが可能になります。

  1. 「できた!」を実感させる

お手伝いができたら、「すごいね!」「ありがとう!」と、できたことをしっかり褒めることも大切です。
「その調子」「いい感じ」など、端的なフィードバックも子供にとっては褒められたと感じることにつながります。
「自分でできた!」という達成感があると、お子さんも自信を持ち、次のお手伝いにも意欲的になれるかと思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか?少しでもご家庭でお手伝いをお子さんに教えるときの参考になったらうれしいです。

改めて、家のお手伝いを教えるときのポイントをまとめておきます。

• お子さんに合ったお手伝いを選ぶ
• 教える側がきちんと手順を理解しておく
• ゆっくり落ち着いた環境で教える

• 介入度を調整しながら教える
• 最初の教え方を大事にする

ぜひ、ご家庭でなかで取り入れてもらえたらと思います。

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